相続税に関するQ&A
相続税の申告期限はいつですか?
A.相続開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内です。
例えば、被相続人が1月1日に亡くなり同日に相続開始を知った場合は、10ヵ月後の応当日である11月1日が期限日となります。もし、その日が土曜日、日曜日、祝日など税務署が休みの日なら、翌日が期限日になります。
期日までに被相続人の住所地を管轄する税務署に申告を行います。納付の期限も同じなので注意しましょう。
相続税の申告期限を延長することは可能ですか?
A.原則として、期限の延長はできません。
相続税の申告期限の延長は原則できませんが、特別な事情がある場合は最大2ヶ月間の期限延長が可能です。ただし、延長が認められるケースはとても稀ですので、やはり通常の期限を守るようにした方が良いでしょう。
遺産がどのくらいなら相続税は発生しますか?
A.基本は遺産の総額が基礎控除額を超える時です。
相続税には基礎控除額「3,000万円+法定相続人の数×600万円」というものが設けられています。数式からも分かる通り、法定相続人の数に応じて基礎控除額は変わります。
遺産総額がこの基礎控除額を上回った場合は相続税の申告が必要です。
遺産に現金が少なく期限までに相続税を納めることができません
A.延納制度を利用しましょう。
相続税の納付は現金一括で行うのが原則ですが、「遺産に現金がない」「自身も持ってない」等の理由がある場合、相続税を年賦による分割で納める「延納」という制度を利用できます。
相続税額が一定の金額を超えており一括納付が難しく、相続人に定期的な収入があり分割納付なら可能である等、要件を満たした場合に認められます。
申告期限を過ぎた場合、罰則(ペナルティ)はありますか?
A.ケースに応じて税金が加算されてしまいます。
無申告や、過少申告、申告はしたが納付を怠った等、ケースに応じて税金が加算されます。
例えば、無申告の場合は納める相続税額の50万円までの部分に10%、50万円を超える部分に15%が加算されます。(税務署が指摘する以前に自主的に申告を行った場合は5%の加算税が科されます。)
妻に多く財産を遺したいのですが、相続税を抑える方法はありませんか?
A.「相続税の配偶者軽減制度」を活用しましょう。
相続税の配偶者軽減制度とは、被相続人の夫や妻などいわゆる配偶者が遺産相続をした際に、一定額まで税金を非課税にできるものです。非課税となるのは「1億6,000万円」もしくは「配偶者の法定相続分額」のいずれか高い金額の方となります。
制度利用には決められた要件を満たすことも必要です。
相続税の税率はどうなっていますか?
A.対象金額に応じて税額が高くなる累進課税率が採用されています。
相続税の税率は一定ではなく、対象財産の総額によって異なります。よって、正しい税率や計算方法を把握しておかないと正確な税額を算出できません。
誤った税額で申告や納税を行うと、後々ペナルティを科せられてしまいます。
相続税の計算で注意する点はありますか?
A.相続税の特例制度や生前贈与等を利用している場合は注意です。
相続税の計算方法については、基本的に「遺産総額の算出」「基礎控除額の差し引き」「各相続人の取得金額に応じた税額の算出」という三段階を踏みます。
ただし、相続税の特例制度や生前贈与等を利用している場合は、税額に影響が出る可能性があるので計算に反映させる必要があります。
遺産の中に土地がある場合、相続税をどのように計算しますか?
A.「路線化方式」もしくは「倍率方式」を使います。
路線価とは、国税庁が定めた土地の価格を指すものです。毎年1月1日に評価が行われ、8月頃にHPで公表されます。
倍率方式は路線価が設定されていない地域に対して用いられる計算方法です。
住宅などの建物はどうやって評価額を計算しますか?
A.建物の評価額は生前の利用方法によって異なります。
相続時の建物の評価方法は固定資産税評価額をベースとして、各利用状況に応じた利率を掛けます。つまり、利用状況の違いによって、評価額=課税対象額が変わるということです。
利用状況とは具体的に、「個人利用」か「第三者に貸していた」か「賃貸物件として利用していた」かです。
相続税を払い過ぎた場合はどうなりますか?
A.過払い分を取り戻すには、還付制度の手続きをする必要があります。
税金を多く納めても問題はありませんが、払い過ぎたお金は自動で返ってきません。
取り戻すには、自ら還付制度を利用して手続きをする必要があります。
相続した財産は全て相続税の課税対象になりますか?
A.課税対象になるものは限られています。
相続で取得する財産の全てが相続税の課税対象となる訳ではありません。非課税扱いのものもあります。
逆に、被相続人の生前に贈与されたものでも相続税の課税対象になるものもあるので、注意が必要です。
課税対象ではない財産にはどんなものがありますか?
A.祭祀財産や損害賠償金等があります。
祭祀財産とは、祖先を祀るための道具や遺体や遺骨を葬る設備、具体的には仏壇やお墓を指します。これらは相続税の課税対象外です。
他にも損害賠償金や弔慰金等があります。
死亡保険金は相続税対策になると聞いたのですが…
A.死亡保険金には一定の非課税枠があるので相続税対策に活用できます。
死亡保険金は本来は相続財産ではないものの、被相続人の死亡によって取得される点が通常の相続財産と同じ扱いとされる「みなし相続財産」として、相続税が課税されます。
しかし、他のみなし相続財産と異なり、死亡保険金には一定の非課税枠が設けられています。これは死亡保険金や死亡退職金だけが持っている特別な設定です。
死亡保険金の活用にあたって注意することはありますか?
A.保険料負担者の設定を間違えると非課税枠が適用できません。
「死亡保険金」は一定の非課税枠が設定されているので、節税対策として活用可能ですが、保険料負担者の設定を違えてしまうと、非課税枠が使えなくなってしまいます。
また、受取人を誰にするかで節税効果も大きく変わってきます。
「相続税についてのお知らせ」が来たのですが…
A.まずは自身が申告対象者かどうかチェックしましょう。
対象者かどうかは、「取得した遺産の総額が基礎控除額を超えているかどうか」で判断します。
基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の人数」で算出しますが、この基礎控除額を1円でも上回った場合には相続税の申告が必要です。逆にこの金額を超えなければ、何もしなくて大丈夫です。
家具や電化製品も相続財産となりますか?
A.家庭用財産として相続財産になります。
家庭用財産とは自宅用として使う財産であり、タンスやテーブルといった家具の他に、書籍や書類、冷房機や洗濯機などの電化製品が該当します。
相続財産である以上、相続税の課税対象となります。
孫にも相続財産を残したいのですが…
A.相続税の2割加算の対象になってしまいます。
相続税のルールには「孫や兄弟等に財産を相続させた場合、相続税が2割加算される」というものがあります。
2割という数字はかなり大きく、仮に相続税が500万円だった場合、2割加算によって600万円に上がってしまいます。
養子縁組をした場合、相続権はどうなりますか?
A.養子は実子と同じ扱いとなり、相続権も持ちます。
ただし、「普通養子縁組」であった場合、実親との関係も維持されます。
そのため、普通養子縁組で養子になった人は養親と実親が亡くなった時の両方で財産財産を得る権利を持つことになります。
養子縁組をすれば節税になりますか?
A.法定相続人の数が増えるので、基礎控除額が上がって税額は抑えられます。
ただし、法定相続人になれる養子の人数は決まっていたり、他の相続人の取り分が減るのでトラブルとなりやすいなど、養子縁組による節税には注意点もあります。
相続税の申告は各相続人ごとにできますか?
A.各相続人が納税義務者のため、個々に申告しても問題ありません。
相続税の申告は、様式を見ると相続人全員が共同で提出することが義務のように思えますが、法律上ではあくまで相続人各人が納税義務者であるので、個々に申告しても問題はありません。
しかし、申告書の提出先は被相続人の住所地になる上、一つの申告書を連名で提出する方が書類作成の手間もかからず手続きもスムーズなので、多くの場合は連名での申告が行われています。
相続税の申告額を間違えた場合はどうすれば良いですか?
A.修正申告をする必要があります。
申告期限後に相続税の申告をし直すことを「修正申告」もしくは「更正の請求」といいます。
実は相続税における修正申告は多くのケースで発生します。単純に税額を間違った場合だけでなく、分割の方法が変わって相続分に変動が生じた場合にも手続きが必要になるからです。
葬儀費用は相続財産から払えると聞いたのですが…
A.葬儀費用は相続財産から控除可能です。
葬儀代を工面するにあたって多いパターンは亡くなられた方の配偶者等が立て替えておいて、香典で回収するといったものですが、実は相続財産から支払うこともできます。
葬儀費用は、本来であれば遺族が負担するものですが、人の死によって必然的に発生する費用のため、相続税の計算上、債務と同じように相続財産からマイナスして良いのです。
未成年が相続人になる場合の特例はありますか?
A.20歳未満の場合、年齢に応じて相続税を控除できる制度があります。
相続税には様々な控除制度がありますが、「未成年者控除」もそのうちの一つです。
同制度は相続人の年齢に応じて、相続税を減額できる上、当該相続人の扶養義務者が支払う相続税も減らすことができます。
障害者が相続人になる場合の特例はありますか?
A.相続人が障害者の場合、条件に応じて相続税を控除できる制度があります。
相続税の減額制度には「障害者控除」というものがあり、障害を抱えて生活する相続人の遺産取得後における日常生活の負担軽減を目的としています。
控除対象となる方は、障害者手帳を持っていたり要介護認定を受けている等、一定条件に当てはまる方です。
被相続人が株式を持っていた場合はどうやって価格を評価すれば良いですか?
A.上場株式か非上場株式かで評価方法が変わります。