相続税の課税対象となる財産について

相続税を計算する際に大事なのが課税対象となる財産の把握です。なぜなら、相続で取得する財産の全てが相続税の課税対象ではないからです。

逆に、被相続人の生前に贈与されたものでも相続税の課税対象となることもあるので、注意しなければなりません。
 

課税対象となる財産

【通常の相続財産】

(1)積極財産

いわゆるプラスの財産です。金銭に見積もり可能なものはすべて対象です。

  • 金融資産……現金・預貯金・有価証券・株式など
  • 不動産(土地)……宅地・農地・山林・借地権・地上権・貸借権など
  • 不動産(建物)……住宅・倉庫・借家権・マンション・アパートなど
  • 動産……自動車・貴金属・骨董品・美術品など
  • 各種権利……著作権・特許権・商標権・ゴルフの会員権など
  • 事業用財産……機械設備・備品・商品・材料・農産物・売掛金など

被相続人の持ち物は厳密には全てが対象ですが、全ての財産価格について調べるのは現実的ではないため、一単位5万円以下のものについては、「家財一式10万円」など評価額をまとめて申告しても大丈夫です。
 

(2)消極財産

いわゆるマイナスの財産です。プラスの財産から差し引きされて税額を算出します。

  • 負債……ローン等の借金、小切手、手形、買掛金など
  • 税金……未払の各税金
  • その他……未払の家賃や医療費、クレジットカード利用料など

 

【みなし相続財産】

みなし相続財産とは、被相続人の死亡によって相続人が取得できる財産のことです。民法上では相続財産とはされていません(そのため、遺産分割の必要はなし)が、税法上では同じ扱いとされ、課税対象になります

主なものとして

  • 死亡保険金、死亡退職金
  • 信託受益権
  • 低額の譲り受け
  • 債務の免除

があります。

上記のうち、死亡保険金、死亡退職金には一定の非課税枠(500万円×法定相続人の数)が設けられており、これを超過する金額にのみ課税されます。
 

【生前贈与加算に該当するもの】

生前贈与加算とは被相続人の死亡前(相続開始前)三年内に贈与された財産については、相続税の課税対象になります。

ただし、

  • 推定相続人以外への贈与
  • 特例の贈与制度の利用

に該当する場合は、対象から外れます。

参考記事:生前贈与加算について

 

【相続時精算課税制度で贈与されたもの】

相続時精算課税とは、生前贈与で渡した財産について、贈与時の課税を相続時にまで先送りする制度です。

参考記事:相続時精算課税制度について

 

財産総額が一定額を超える場合は相続税の申告と納付が必須

説明した課税対象の財産総額が一定額を超える=控除額を上回る場合は相続税の申告と納付が必要となります。

相続税の申告と納付期限は相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内となっています。
期限切れの場合には罰則が科せられるので注意しましょう。

参考記事:相続税を支払うのはどんなケースか

参考記事:相続税の申告期限について

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