賃貸物件の相続評価方法とは
近年では、投資をして賃貸アパートやマンションを経営される方もいます。これらの賃貸物件は、実は土地、建物ともに相続税評価が通常の不動産よりも低くなります。
いくら安くなるのかは、貸している割合によって変わってきます。
不動産の相続税評価額
現金の場合は、相続税評価額はそのままですが、不動産の場合は土地と建物、それぞれの評価方法に従って金額を算出します。
- 土地の場合…「路線価方式」もしくは「倍率方式」で算出
- 建物の場合…「固定資産税評価額×1.0」で算出(建設中の場合は「建設費用×0.7」)
上記の方法で算出された評価額は実際の取引価格よりも低いものになります。ばらつきはありますが、土地なら20~30%減額、建物30~50%程度ほど下がります。
賃貸物件は貸している割合で更に減額
不動産が賃貸物件の場合、「貸している割合」によって評価額は更に下がります。
どうして低くなるのかは、土地や建物を他人に貸していると、その土地や建物を売却したいと考えても、容易に処分することができないからです。
(1)賃貸を行なっている土地の計算方法
評価パターンは以下の二つがあります。
- 土地のみを賃貸としている「貸宅地」
- 土地の上に賃貸物件を建てている「貸家建付地」
貸家建付地評価額=自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)
各項目は以下を参照してください。
借地権割合…土地の自用地評価額に占める借地権の価額の割合で路線価図で確認します
借家権割合…借家権は賃借人が建物を利用する権利で、借家権割合は全国一律30%
賃貸割合…貸し出されている部屋の床面積の割合
(2)賃貸を行なっている建物の計算方法
借家権割合は先ほど述べた通り、全国一律30%。賃貸割合は貸している部屋の床面積によって変わります。
生前の所得について準確定申告が必要
相続開始前に生じた家賃収入は被相続人の所得です。(未収であっても同様。)
よって、相続財産として扱われますが、被相続人の生前に申告が済んでいないものに関しては、相続開始から4ヶ月以内に「準確定申告」をしなければなりません。
故人の所得について遺族が代理で申告を行います。相続開始から4ヶ月以内と相続税申告の期限より早いので、注意が必要です。
家賃収入を引き継ぐ相続人もその所得が20万円を超えれば確定申告が必要です。こちらも忘れずに申告と納付をしましょう。
相続不動産の賃貸収入について
賃貸収入については遺言の有無によって、取得者を決めると良いでしょう。
(1)遺言がある場合
遺言書がある場合、賃貸物件の取得者が書かれていれば、その方が不動産と共に家賃収入を引き継ぎます。
取得する家賃収入は相続が発生した月から、それまでの収入は被相続人の財産なので、分割対象です。
(2)遺言がない場合
遺言書がない場合は、遺産分割協議で不動産の取得人を決めます。
分割が決まるまで相続財産は相続人全員の共有財産となるので、その間に発生する家賃収入も相続人全員のものとなります。つまり、法定相続分として相続人全員が受け取れます。
遺産分割協議で相続人が決まっても、「その人だけが受け取れる」のは分割決定後に発生した家賃のみとなります。
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