相続税の物納とは?注意点も解説
相続税が現金で支払えない場合、代わりに「もの」で納めることができます。
ただし、利用するには前提条件をクリアすることの他に、国の審査も通過しなければなりません。
物納とは
相続税は原則として現金での一括納付で行います。しかし、事情によりそれが困難である場合、物(相続財産)での納付が可能です。この制度を物納といいます。
物納を行うには以下の条件全てを満たす必要があります。
- 相続税の納税額が10万円超
- 相続税の支払いができない
- 定期収入もなく、分割納付もできない(延納制度が利用できない)
- 物納に充てる相続財産がある
なお、物納に充てられる財産と優先順位は決まっています。
これらは、相続で取得したもの、日本国内にあるものに限られます。そして、最終的に物納に充てられるかどうかは、税務署の判断に委ねられます。
基準は厳しくなっており、売れる見込みのないものは却下されてしまいます。
物納の利用状況
国税庁データによれば、物納申請状況は2020年の時点で件数は65件で、許可が下りたのは53件のみです。
10年ほど前は数千件の申請数がありましたが、現在では大きく減少を続けています。
物納を考える際の注意点
現在では物納の基準が厳格化されており、こと不動産に関しては「売れない物件を国は引き受けない」という方針になっています。
また、物納する財産の評価は、その財産の本来の価値ではなく、相続税計算の際の評価額になる点に気をつけねばなりません。
例えば、自宅で考えてみると、その土地の価値が3,000万円であったとしても、相続税を算出の際に、小規模宅地等の特例を使って80%減額していた場合は、物納の価格も80%減額後の価格となるのです。
不動産の売買価格が相続税評価額よりも高くなりそうな場合は不動産売却を検討した方が良いでしょう。
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