相続税の未成年者控除について

相続税には様々な控除制度がありますが、「未成年者控除」もそのうちの一つです。

同制度は相続人の年齢に応じて、相続税を減額できる上、当該相続人の扶養義務者が支払う相続税も減らすことができます。
 

相続税の未成年者控除とは

相続税の未成年者控除とは、相続人が20歳未満の未成年者の場合、年齢に応じて当該人が払う相続税を控除できる制度です。

控除額は「満20歳になる残り年数(1年未満の期間は切り上げて計算)×10万円」なので、相続人が若ければ若いほど控除額は大きくなります。

未成年者は成年者と違って、安定した収入が得られないことが大半です。相続税の負担が重ければ、今後の生活が困難になるので、このような制度が設けられているのです。

なお、控除枠を使い切れない場合は、余った金額を他の相続人が払う相続税からも減額することができます

ただし、減額できる相続人は「未成年者である相続人の扶養義務者」に限られます。扶養義務者とは、戸籍上での配偶者・直系血族(祖父母と孫や父母と子の関係)・兄弟姉妹の他、3親等内の親族のうち家庭裁判所が扶養義務者と定めた方を指します。
 

制度要件

  • 取得する財産が相続か遺贈によるもの
  • 相続財産を取得する人が法定相続人にあたる
  • 財産を取得した時点で満20歳未満である
  • 相続開始時点で日本に住所がある
    (上記に当てはまらない場合は日本国籍を持っていて、相続人か被相続人が相続前5年以内に日本に住所を有している)

未成年者控除を適用するには上記全ての条件を満たします。

相続財産を取得した時点で20歳の誕生日を迎えていなければ制度を適用できます。
 

未成年者が相続人になる際の注意点

未成年者は原則として法律行為を行えないので、遺産分割協議を行う場合は代理人を立てなくてはなりません。

ここでいう代理人は「法定代理人」と「特別代理人」の2つがあります。

法定代理人とは未成年者に代わって法律行為をする人を指します。基本的には親権者が代理人となりますが、親権者も未成年者も相続人の場合は、「利益相反行為(一方の利益が生じると自身が代理した者に不利益が生じること)」となるので、法定代理人になれません

その場合は、家庭裁判所に申し立てをして特別代理人を選任しなければいけません。

特別代理人は相続分割の結果により利益が発生しない第3者であれば誰でもなれるので、親戚でも構いません。

特別代理人を相続手続きの専門家に依頼することも良いでしょう。報酬はかかってしまいますが、専門家であれば、代理人はもちろん他の手続きもサポートしてもらえるというメリットがあるからです。


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