遺言書を開封してはいけない
遺品を整理していて遺言書が見つかる場合もあります。
この場合、その場で開封したりせずに然るべき手続きを行わなければなりません。
開封したことによって、法律違反になる可能性もあるからです。
遺言書は勝手に開封してはいけない
TVドラマの影響で勘違いしがちですが、遺言書には勝手に開封してはいけない取り決めがあります。開封は裁判所での手続きが済んだ後です。
この手続きを「検認」と言います。検認とは、遺言書に書かれている内容を明確にして、偽装や変造を防ぐための手続きです。(遺言書が有効か無効かを判断する手続きとは別なので注意してください。)
遺言書は検認の手続き終了まで、金庫等に保管して紛失を防ぎましょう。
開封による罰則
(1)5万円以下の過料
裁判所の検認手続きの前に遺言書を開封した場合、5万円以下の過料を支払わなければならない可能性があります。
過料とは、行政上、軽い禁令を犯したものに支払わせる金銭罰です。
(2)破棄や改ざんの場合は相続人資格を失う
遺言書を開封しただけの場合は過料の支払いで済みますが、破棄や改ざんを行った場合には更に重いペナルティが科せられます。民法では、『相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者は相続人となることができない』とされています。
つまり、相続人資格を失うわけなので遺産ももらえなくなります。
また、破棄や偽造によってその他の相続人に損害を与えるような場合には、損害賠償責任を負うことにもなりますし、ケースによっては5年以下の懲役に罰せられることもあります。
公正証書遺言書だけは開封して良い
公正証書遺言とは、遺言者自身ではなく、公証役場の公証人に代筆してもらう作成方法です。公正証書遺言の原本は公証役場に保管され、謄本は遺言者の手元に渡されます。
そのため、偽造や変造・紛失のリスクがないため、遺族が遺言書を開封しても問題ありません。
開封がNGなのは、原本管理を遺言者自身が行う自筆証書遺言書や秘密証書遺言であることを覚えておきましょう。
開封を防ぐための対策
(1)遺言書を二重封筒に入れておく
遺族が勝手に遺言書を開封するのを防ぐには、遺言書に一手間加える必要があります。
有効なのは、遺言書を入れる封筒を二重にしておく方法です。具体的には大きめの封筒の中に、メモと遺言書の入った封筒を入れておく方法です。
遺族が誤って外側の封筒を開いても「遺言書が入っているので、裁判所で検認を受けるまで開封しないこと」というメモを見れば、中の封筒の開封を思い留まります。
(2)公正証書遺言書を活用する
前述したように、役場に原本がある公正証書遺言書だけは偽造や紛失の怖れがないので、開封しても問題ありません。
また、検認手続きをしなくて良いメリットもあります。
証人を用意することや担当者との事前打ち合わせなど、作成の手間はかかりますが、開封を防ぐための手段としては確実な方法です。
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