相続税申告期限の延長は原則不可
相続税額を正しく算出し、税務署に申告するには期限があります。
期限までに申告や納付を行わないと加算税という罰則を科せられます。
例えば、申告を全くしない場合は無申告加算税が科せられ、50万円までの部分に15%、50万円を超える部分に20%も上乗せされてしまいます。
これらの罰則は相当に重いので、申告期限は厳守が前提です。
ただし、重大な事由があり、どうしても期限に間に合わない場合は例外的に相続税申告の期限延長が認められています。
申告期限の延長は原則できない
相続税申告期限は、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内です。
この申告期限は原則として延長できません。安易に延長を認めてしまうと、各ケースで申告期限がバラバラとなってしまい、不都合な事例が生じるからです。
ただし、例外として特別な事情がある場合には、最大で2ヶ月間の期限延長が可能です。
ここで言う特別な事情とは
- 相続人の異動があった
- 遺留分の侵害額請求があった
- 遺贈に係る遺言書が見つかった
- 相続人の人数に入っていた胎児が生まれた
の4つです。
申告期限を延長する特別な事情とは
(1)相続人の異動があった
相続人の異動とは、相続人の数が変わることです。
例えば、相続人本人の問題行為等により相続廃除や相続欠格となる場合があります。これらを受けると、相続人としての権利を失うので、相続人数は変わります。
また、相続人が生死不明で失踪宣告を受ける、もしくは一度受けた失踪宣告が解消されたり等した場合も、相続人の人数は変わります。
相続人の人数が変わると、基礎控除額は遺産分割の額も変わるので、当然申告金額にも影響が出ます。
(2)遺留分の侵害額請求があった
遺留分とは、法定相続人に認められる権利で、最低限の遺産を取得できるものです。遺言書の力でも侵害することはできません。
遺留分の侵害額請求とは、最低限の遺産を要求する行為です。話し合いで解決しない場合は、家庭裁判所に申し立てて、調停・訴訟を行います。
遺留分について交渉している間は、相続税申告の有無が確定できない上、遺留分が認められた場合は、各相続人が負担する相続税額も変化します。
(3)遺贈に係る遺言書が見つかった
遺贈とは、遺言書で指定の上、法定相続人に該当しない人物に遺産を取得させることです。
遺贈の内容が書かれた遺言書が、相続開始からかなり後に見つかった場合、各相続人が負担する相続税額も変化し、申告書の作成をやり直さなければなりません。
(4)相続人の人数に入っていた胎児が生まれた
民法では、母親のお腹にいる胎児はすでに生まれたものとみなし、相続権も認められています。(死産や流産の場合は、法定相続人にはなれません。)
もし相続人に胎児がいる場合は、生まれたときから2ヶ月の延長が認められます。
期限延長が認められることは稀
相続税申告の期限延長については、相続税を専門とする税理士でもあまり事例に関わることがない程に稀です。
遺留分の侵害額請求があり申告が遅れることはありますが、相続廃除や欠格によって相続人が異動するケースや、遺贈に係る遺言書が大分後になって見つかるケースはほとんどありません。
よって、相続税の申告期限の延長は基本的に考えないほうが良いでしょう。
それでも、特別な事由が発生してどうしても申告期限に間に合わなくなる場合は、専門の税理士に相談してください。
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